章 65

体は痛むし力も入らないけれど、痛みの大部分は引いてきた。「ありがとう」私の上に屈みこんで脚に包帯を巻いてくれているライアンに、私は言った。

「かなりひどい噛み傷だな」彼は私と視線を合わせずに答える。「でも、治るさ」

「あのはぐれ者たちのことは何も知らないって言ってたのは分かってるけど、彼らは私たちを追ってるのよ、ライアン。特にアレックスの人間を」

「彼女について何か知っているのか?」

「シンシアのこと?」失血でまだ少し頭がふらふらしていて、話し方も少しゆっくりになる。「別に何も……ただの普通の子よ」

「彼女が引き寄せている連中を見ると、そうは思えないがな」

ライアンは踵に体重を乗せて後ろに傾い...

ログインして続きを読む